なぜTOPIXだけ大きく下げたのか|11月2日の日経平均との差を読み解く
導入
11月2日(月)の東京株式市場は、日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)がそろって続落しました。ただ、下げ幅にははっきりした差があります。日経平均は小幅な下げにとどまった一方、TOPIXはその約2.7倍の下落率になりました。
この差を分けたのは、半導体関連株の中での「明暗」です。決算後の業績見通しが市場の期待に届かなかったキオクシアホールディングス(285A)に失望売りが集中する一方、好決算を発表した東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)には買いが集まりました。本記事では、2つの指数の数字を比べながら、この日の相場の実像を整理します。
日経平均とTOPIXの数値対比
11月2日の終値は次のとおりです。
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 63,081.86円 | −208.25円(−0.33%) |
| TOPIX | 3,930.28 | −34.79(−0.88%) |
背景には、前週末10月30日の米国市場でハイテク株が急落した流れがありました。ナスダック総合指数は2.86%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は7.20%安と大きく下げ、インテルが30%前後の急落となるなど、AI関連投資の採算への警戒が強まっていました。
東京市場でも朝方から売りが先行し、日経平均は一時62,712.91円まで下落しました。その後は半導体関連の一角への買いで下げ幅を縮めましたが、市場全体では東証プライムの約3分の2の銘柄が値下がりしたと伝えられており、「指数は小幅安でも中身は広く売られた」一日でした。TOPIXは7月以来の安値水準で終えています。
キオクシアの失望売りと、好調な半導体関連への買い
売られたキオクシア:過去最高益でも15.8%安
キオクシアは10月30日に2027年3月期の上期決算を発表しました。売上収益は4兆2,472億円(前年同期比436.8%増)、純利益は約2.2兆円と前年同期の約37倍で、過去最高益を達成しています。
それでも株価は大幅安となりました。終値は11,345円、前日比15.8%安で、約半年ぶりの安値水準です。売りの理由は実績ではなく「先行き」でした。あわせて示された10〜12月期の業績見通しが、市場予想を下回ったためです。10〜12月期の調整後営業利益の見通しは約2兆円とされ、市場予想の2兆3,200億〜2兆3,500億円程度に届きませんでした。NAND型フラッシュメモリーの平均販売価格の上昇ペースが鈍る見通しも、失望売りを誘いました。
株探の集計では、キオクシア1銘柄で日経平均を約150円押し下げ、この日の下落寄与度は最大でした。好決算そのものではなく、市場の期待との差で株価が動く典型的な例と言えます。
買われた半導体製造装置株:東京エレクトロンとアドバンテスト
同じ半導体関連でも、値動きは正反対でした。東京エレクトロンは、決算で示した今期の利益見通しが市場予想を上回ったことが好感され、買いが優勢となりました。株探の集計では日経平均を約248円押し上げ、上昇寄与度は最大です。アドバンテストも買われ、約196円の押し上げ寄与となりました。
つまりこの日は、「半導体株が一様に売られた日」ではありませんでした。前週末の米国半導体株安を受けて売りが先行したものの、東京では決算内容の良し悪しで銘柄の選別が進み、見通しの強い製造装置株に買いが集まった、というのが実態です。
なぜ2つの指数に差が出たのか
差の理由は、指数の作り方の違いにあります。
- 日経平均は、225銘柄の株価を平均する「株価平均型」の指数です。株価の高い銘柄の影響を受けやすく、東京エレクトロンやアドバンテストのような値がさの半導体株が買われると、指数全体が支えられます。
- TOPIXは、東証プライム全銘柄を時価総額で加重する指数です。個別の値がさ株の影響は相対的に小さく、市場全体の銘柄の値動きがそのまま反映されます。
11月2日は、値がさの半導体製造装置株が買われて日経平均の下げを小さくした一方、プライム市場では約3分の2の銘柄が下がる広範な売りが出ていました。そのため、市場全体の姿を映すTOPIXのほうが下落率は大きくなった、と読み解くことができます。「日経平均が小幅安だから相場は底堅かった」とは限らない点が、この日の教訓です。
まとめ
- 11月2日は日経平均が0.33%安、TOPIXが0.88%安と、下落率に約2.7倍の開きがありました
- キオクシアは過去最高益にもかかわらず、10〜12月期の見通しが市場予想を下回り、15.8%安と失望売りの中心になりました
- 一方、好決算の東京エレクトロンとアドバンテストが買われ、日経平均を大きく押し上げました
- 指数の仕組みの違い(株価平均型か、時価総額加重か)により、同じ日でも見える景色が変わります。日経平均だけでなくTOPIXや値下がり銘柄数もあわせて見ることが、相場の実像をつかむ近道です
※本記事は2026年11月2日の市場動向を公開情報に基づいて解説したものです。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、過去の値動きや決算への反応が将来の株価を保証するものでもありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
出典
- 日経平均・TOPIXの終値と前日比:各社報道(みんかぶ MINKABU PRESS「東京株式(大引け)=208円安、キオクシア大幅下落でリスクオフ継続」2026年11月2日ほか)
- キオクシアの終値・下落率と業績見通し:TradingKey、EBC Financial Group(2026年11月2日)
- 指数への寄与度:株探の集計として伝えた報道(2026年11月2日)















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