米中間選挙の結果が出た|予想と実際の株価を検証

前回の記事では、米中間選挙の後は株が上がりやすいという過去の統計と、2026年今回の見通しをまとめました。11月3日の投稿のあと、結果が出ました。予想と実際の数字で検証します。

結果はどのシナリオだったか

結果は、事前に最有力とされていた「民主党の両院奪還」でした。APの判定では、民主党が上院・下院の両方で過半数を獲得しました。

  • 上院:民主党が共和党の議席を7つ奪い返しました(アイオワ、カンザス、メイン、ノースカロライナ、オハイオ、サウスカロライナ、テキサス)。共和党からの奪い返しはゼロでした。
  • 下院:APが当確を出した分だけで民主党222議席・共和党138議席となり、過半数に必要な218議席を超えました。
  • ただし、最終的な議席数はまだ確定していません。11月4日朝(米太平洋時間7時)時点で、下院は75選挙区、上院はアラスカとミシシッピが未確定でした。過半数の帰属は決まっていますが、議席数の最終確定は集計待ちです。

前回記事で紹介した予測市場(11月2日時点)では、民主党の両院奪還が61〜66%で最有力、議会の分割が26〜30%、共和党の両院維持が7〜10%と見られていました。JPMorganのシナリオ分析でも、民主党の両院奪還が66%で最も確率が高いとされていました。つまり、結果そのものは「想定内の最有力シナリオ」でした。それにもかかわらず、市場の反応は想定を超える大きさになりました。
なお、新しい議会が発足するのは2027年1月です。選挙結果がすぐに政策に変わるわけではなく、ここから先は「ねじれ」ではなく「民主党議会と共和党大統領」という組み合わせのもとで、法案や予算がどう進むかが材料になります。

11月4日の日経平均:「直後は小動き」という見通しは外れた

ここが、今回の検証の中心です。
11月4日の日経平均は62,188.63円、前営業日比−893.23円(−1.42%)で、3営業日続落となりました。TOPIXは3,895.38(−34.90、−0.89%)でした。
前回記事の見通しは、「11月4日の東京市場は、選挙要因だけなら小幅の可能性が高い」というものでした。根拠は、過去の選挙直後の東京市場の初日が小幅でまちまちだったことです(2022年−0.56%、2018年−0.3%、2014年+0.44%)。しかし今回は−1.42%と、過去の初日の例をはるかに上回る下げになりました。
値動きの大きさは終値だけでは伝わりません。日経平均は場中に一時60,030.10円まで下げ、前営業日の終値(63,081.86円)から3,051.76円安まで売られました。6万円の大台割れ寸前まで迫ったあと、終盤に買い戻しが入って安値から2,158.53円戻し、終値は62,188.63円でした。
なぜここまで下げたのか。報道では、開票が進んで民主党優勢が伝わるにつれ、AI・半導体関連に売りが広がったと伝えられています。民主党議会のもとでのAI規制への警戒が、AI・半導体株の売りにつながったという見方です。日経平均は半導体関連のウエートが大きいため、TOPIX(−0.89%)よりも下げが大きくなりました。
前回記事では「水曜の東京は開票途中の部分情報への反応で、本格的な反応は木曜に来る」とも書きました。今回は水曜の段階ですでに大きな反応が出たことになります。木曜(11月5日)の東京市場でもAI・半導体への売りが続き、日経平均はさらに下落しました。詳しくは『今後の注目点』にまとめています。
ドル円も、見通しと照らして見る必要があります。前回記事の整理では、方向は米株次第、大きさはドル円次第でした。11月4日のドル円は、東京時間に158円74銭から157円40銭まで円高が進み、17時時点で158円10〜20銭まで戻しました。つまり、157円台後半を一時抜けて円高が進み、日経の下げが広がる方向に働いたあと、引けにかけて158円台に戻して下げ幅の縮小に寄与した、という流れです。円高が一時的だったことが、終盤の戻りの一因と考えられます。

米国株の反応:JPMorganの想定レンジも上回った

選挙後最初の米国セッション(11月4日)では、S&P500は7,688.62(前日比+119.70、+1.58%)と大きく上昇しました。前日の終値は7,568.92でした。ダウ平均は53,356.12(+3.03%)、ナスダック総合は25,736.51(+1.44%)でした。
JPMorganのトレーディングデスクは、シナリオ別のS&P500の反応を全体で−0.25%〜+1.25%と見積もっており、民主党の両院奪還のシナリオでは−0.25%〜+0.50%としていました。実際の+1.58%は、民主党奪還シナリオの上限(+0.50%)はもちろん、4シナリオ全体の上限(+1.25%)をも上回りました。
ただし、米株の上昇をすべて「選挙要因」と断定するのは早計です。同日の報道では、原油価格の大幅下落など選挙以外の材料も上昇の背景として挙げられています。不透明感の解消による買い戻しがあったことは確かでしょうが、「選挙だけで+1.58%上がった」と読むのは行き過ぎです。
ここで日米の対比がはっきりします。同じ「民主党の両院奪還」という結果に対して、東京市場は−1.42%の大幅安、米国市場は+1.58%の大幅高と、正反対の反応になりました。東京がAI・半導体への規制警戒で売られたのに対し、米国では選挙の不透明感が晴れたことによる買い戻しが優勢になった、という構図です。同じニュースでも、市場によって受け止め方が違うことが、今回の最大の教訓かもしれません。

当たった点と外れた点

当たった点:

  • 結果そのものは最有力シナリオ(民主党の両院奪還)どおりだった。
  • 「選挙が終わって不透明感が消えることが材料」という前回記事の整理は、米国市場の買い戻しという形で現れた。
  • ドル円が日経の値動きの大きさを左右した、という構図は当たった。円高が進んだ時間帯に日経の下げが広がり、円安方向に戻すと下げ幅が縮んだ。

外れた点:

  • 「11月4日の東京市場は小幅」という見通しが外れた。日経平均は−1.42%、場中は一時−3,051.76円まで下げた。過去の初日の小幅な例とは別次元の値動きだった。
  • 「本格的な反応は木曜」という見通しも、水曜の段階で大きな反応が出たため、少なくとも前倒しになった。木曜も売りが続き日経平均はさらに下げた一方、TOPIXは反発しました。
  • JPMorganの想定レンジ(民主党奪還で−0.25%〜+0.50%、全体でも−0.25%〜+1.25%)に対して、米国の実際の上昇(+1.58%)は上限を超えた。市場が織り込んでいた「小動き」の想定自体が、米国でも裏切られた。

今後の注目点

  • 11月5日(木)の東京市場:水曜の大幅安のあと、反動で戻すどころか、日経平均はさらに1,110.73円安(−1.79%)の61,077.90円と4日続落し、約5か月半ぶりの安値水準となった。寄り付きは196円高で始まったものの、AI・半導体関連への売りが続き、後場は一時6万円を割り込んだ。アドバンテスト1銘柄で日経平均を1,000円超押し下げたという。
  • ただし市場全体が総崩れした日ではない。TOPIXは45.01ポイント高(+1.16%)の3,940.39と反発し、日経平均と正反対の動きになった。後場に業績見通しの引き上げと株主還元強化を発表したトヨタ自動車が16%超高となり、自動車株が全面高となったためだ。ドル円は15時時点で157.89円と、157〜158円台の小動きにとどまった。
  • つまり前回記事の「木曜に本反応」という見方は、半分当たって半分外れた。AI・半導体への売りという「本反応」は木曜も続き、日経平均はさらに下げた。一方で、TOPIXが上昇に転じたように、売りはAI・半導体に集中し、決算の良い銘柄には買いが入る選別色の強い相場になった。11月2日の記事で書いた「指数の仕組みの違いで日経とTOPIXが分かれる」という構図が、ここでも出た形だ。
  • 11月6日(金)の米雇用統計:前回記事でも指摘した通り、今週は半導体決算と雇用統計が控えている。選挙要因と経済指標・決算要因を切り分けて見る必要がある。
  • 中期の過去統計:前回記事の通り、直近8回の中間選挙後、S&P500は12か月後すべてプラスで平均+13.1%でした。今回のスタート地点は「選挙前の下げがほぼなかった年」「FRBが利上げ局面」「原油高」「AI集中」という割り引き材料のある年です。12か月後の答え合わせは、来年の11月に行うことになります。
  • 政策の具体化:新議会は2027年1月発足です。AI規制や財政をめぐる議会と大統領の駆け引きが、実際に法案として動き出すのはこれからです。

リスク注記

※過去の統計は将来の値動きを保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします。

株式投資

Posted by Ish